東京高等裁判所 昭和38年(ネ)832号 判決 1976年7月12日
昭和三八年(ネ)第八三二号事件控訴人・同年(ネ)第七八四号事件被控訴人・昭和四八年(ネ)第一六九一号事件被参加人(一審原告) 国
訴訟代理人 森脇勝 上林淳 醍醐隆 ほか四名
昭和三八年(ネ)第八三二号事件被控訴人・同年(ネ)第七八四号事件控訴人・昭和四八年(ネ)第一六九一号事件 被参加人(一審被告) 前田治 ほか一名
昭和四八年(ネ)第一六九一号事件当事者参加人 村上平一郎
主文
第一審原告の控訴を棄却する。
第一審被告前田治、同江田重蔵の各控訴をいずれも棄却する。
当事者参加人の請求をいずれも棄却する。
第一審原告の控訴により生じた控訴費用は第一審原告の、第一審被告らの控訴により生じた控訴費用は第一審被告らの各負担とし、当事者参加の申立により生じた訴訟費用は当事者参加人の負担とする。
事 実<省略>
理由
一 当裁判所も、第一審原告の本訴請求は原判決の認容した限度において相当であり、その余は失当であり、第一審被告らの反訴請求はいずれも失当であると判断するものであつて、その理由は、次のとおり付加、削除もしくは訂正するほか、原判決理由の説示(ただし原判決一六一枚目裏一〇行目末尾「が、一六〇八番及び一から一六二枚目表二行目までおよび一六六枚目表末行から同裏五行目までを除く。)と同一であるから、ここにこれを引用する。
(1) 原判決一一二枚目裏一行目「聯」とあるを「聊」と、同一二八枚目表七行目「決済」とあるを「決裁」と、同一四〇枚目表八行目「下与スベキ」とあるを「下与スヘキ」と、同一四一枚目表末行冒頭「供スヘシ分」とあるを「供スヘキ分」と、同一四一枚目裏七行目冒頭「ゲナク」とあるを「ケナク」と、同一五八枚目表九行目「相異する」とあるを「相違する」とそれぞれ訂正する。
(2) 原判決一五二枚目表九行目末尾に「なお、第一審被告前田は、当時の国の予算からみても、また日本銀行の支払い状況からしても、右土地購入費が飛島文吉に支払われた形跡はないと主張する。同第一審被告主張の各年度の逓信省の予算の航空路設置費の工事費の額がその主張のとおりであることは当事者間に争いがないが、右主張の理由のないことは、右に述べたところより明らかであると考える。」を加える。
(3) 原判決一五五枚目裏九行目「二三万四七二坪七合五勺」とあるを「二三万三四二坪七合五勺」と訂正し、同一〇行目「飛島取得の土地面積」の次の「に」を削り、「一七万八四二坪に下阪源太郎所有の九〇〇〇坪および」を加える。
(4) 原判決一五六枚目裏七行目末尾に「なお、第一審被告前田は、予算、決算上全然買収の認められない事実についてかかる報告書のみ存するということは、政府機関の適法な職務執行々為上ありうべからざることであり、従つてかかる報告書は証拠資料としての価値はないと主張するが、右主張の当をえないことは、前叙否認理由第一点につき説示したところより明らかであると考える。」を加える。
(5) 原判決一五九枚目裏四行目末尾に「第一審被告前田は、甲第二一号証の四の一四(登記簿謄本写)の表題部記載の地積は七〇町六反四畝二二歩であつて、第一審原告が飛島文吉から買受けたと主張する原判決添付第一物件目録記載の土地の地積五三町六反四畝二二歩と異ると主張するが、右甲第二一号証の四の一四が一九五二番の土地であり、それが分筆されても一九五二番の一に関する登記であつて、同番の二以下の分筆登記に関するものでないことが推察されること、安藤宇一郎弁護士が右複雑な分合筆登記の全てを写すことの煩を避けて省略したと推測できること、一五九二番七〇町六反四畝二二歩の土地は、同番の一、五三町六反四畝二二歩と同番の二、一七町に分筆されたこと、飛島文吉は下阪源太郎所有の同番の五の土地九〇〇〇坪の所有権も取得して、逓信省に譲渡することに話し合いができた北寄りの部分一六万坪を登記簿上一五九二番の一に総合整理したものであることは、前叙のとおりであるから、第一審被告前田の前記主張は理由がないといわなければならない。また同第一審被告は、原判決添付第一物件目録記載の土地の面積五三町三反三畝一〇歩と同別表第一「一五九二番の権利移転経過図」記載の同番の一の面積五三町六反四畝二二歩(一六万九四二歩)とは符合しないとも主張するが、その当をえないことは、前記により明らかであると考える。また、前記甲第二一号証の四の一四の一枚目と二枚目とに契印がないとしても、このことは右書証の証拠力を損うものではない。」を加える。
(6) 原判決一六一枚目裏二行目末尾に「第一審被告前田は、第一審原告が昭和二八年九月一七日になした所有権保存登記に瑕疵があるとして縷々攻撃するが、前同様右登記の効力について攻撃する意味はない。」を加える。
(7) 原判決一六三枚目裏五行目の次行に「第一審被告江田は、第一審原告が損害を賠償しない限りその所有土地を引渡さないと主張するが、登記抹消を求められている訴訟においては右主張自体抹消を拒む理由とはならないから主張自体理由ないといわなければならない。」を加える。
二 野本治平が昭和四五年九月二九日に死亡し、前田治が相続によりその権利義務を承継したことは、第一審原告と第一審被告前田との間に争いがない。
よつて第一審原告の本訴請求のうち、第一審被告らに対し第一審原告が原判決添付第一物件目録記載の土地を所有することの確認を求め、第一審被告前田に対し原判決添付第二物件目録記載の第一ないし第三および第五ないし第七の土地についてならびに第一審被告江田に対し同目録記載の第六および第七の土地について各請求の趣旨記載の抹消登記手続を求め、第一審被告前田に対し七〇九万八六九〇円の不当利得の返還および前記遅延損害金の支払いを求める限度において相当として認容すべく、その余は失当として棄却すべく、また第一審被告らの反訴請求はいずれも失当として棄却すべきである。
三 当事者参加人の請求について
当事者参加人は、亡野本治平から原判決添付第二物件目録記載第三の土地を買受けて右土地の所有権を取得したと主張するが、亡野本治平が右土地の所有権を有しなかつたことは前叙のとおりであるから、当事者参加人の主張は、その余の点について判断するまでもなく、理由がないといわなければならない。従つて当事者参加人が右土地の所有権を有することを前提とする第一審原告および第一審被告前田に対する請求は、いずれも失当として棄却すべきである。
四 よつて右と同旨の原判決は相当であつて、第一審原告および第一審被告らの本件各控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、当事者参加人の第一審原告および第一審被告前田に対する各請求もいずれも棄却することとして、民事訴訟法第三八四条第一項第九五条第八九条第九三条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 石田哲一 小林定人 野田愛子)